ソフトバンク元守護神が語る伝説の日本シリーズ 引退から1年、サファテ氏「想像していたほど悪くない」

2022年11月23日

 ソフトバンクなどで抑えとして活躍しNPB歴代5位の通算234セーブを挙げた「キング・オブ・クローザー」ことデニス・サファテ氏(41)が、このほどTNCテレビ西日本の独占インタビューに応じ、現役引退から1年がたった現在の思いを語った。

 米国アリゾナ州の自宅で妻、4人の子どもとともに暮らしている元守護神は立派な髭をたくわえ、リラックスした表情でカメラの前に姿を見せた。今もウエートトレーニングは継続しているものの現役時代ほどハードな内容ではないと強調。「引退したら野球ができないことが寂しくてどうしようもないと思っていたけど、想像していたほど悪くはない。家族といる時間を楽しめてるからね」と穏やかに笑った。

 ソフトバンクで4年目の2017年は前人未到の54セーブというプロ野球記録とともに日本シリーズでの姿が「伝説」として語り継がれている。2年ぶりの日本一へ王手をかけていた第6戦、9回から来日7年目で初の3イニングを投げ無失点。チームを延長11回サヨナラ勝ちでの劇的な頂点へ導き、外国人投手では54年ぶり2人目の日本シリーズMVPを獲得した。

 「優勝した瞬間は何が起きているか分からなかったけど、後から見返すとすごくいいなと思うよ。僕たちは毎ゲーム勝つことを期待されていた。もし負けたら『ホークスが負けるなんて信じられない』と思われる。いい監督(14年まで秋山幸二氏、15年から工藤公康氏)やいいコーチがいたのはもちろんだけど、一番良かったのはチームの雰囲気。みんなが近くて家族のようなものだった。球場やクラブハウスに行きたくないと思うことは一度もなかった」

 18年以降は股関節の故障に苦しみ、19年から公式戦登板がないまま昨年引退。あの「3イニング」が影響した可能性を問われると、笑顔で否定した。

 「それに文句を言うつもりはないよ。(監督の)工藤さんと話したし、もし11回で決着がつかなかったら12回までいくつもりだったけど工藤さんは明日(第7戦)も必要になるかもしれないからと投げさせなかった。毎年たくさん投げて、若いころはトレーニングもしていたし大丈夫だったけど、年をとるにつれ体がきつくなってきた。だから、けがをするのは時間の問題だったんだ。あの3イニングが自分を傷つけたわけじゃない」

 ソフトバンク在籍中、九州では熊本地震(16年)や九州北部豪雨(17年)など甚大な被害をもたらす災害があった。サファテ氏は被災者が球場に招待された試合でお立ち台に上がったこともあり、いまも当時の光景を鮮明に覚えているという。

 「彼らが自分のために作ってくれた本、自分のために書いてくれた絵を持ってきてくれて、涙が出たことを覚えている。みんなが応援してくれるのは僕が野球選手でありチームが勝つことを望んでいるからだけど、そんなことがあると改めて、自分がただの野球選手ではないと気付くんだ。応援してもらうだけではなく彼らが地元のコミュニティに再び戻れるように。それが、私たちがやりたいことだった」

 ユニホームを脱いで1年。今も古巣の試合や選手のことなどはネットなどでチェックしているという。功労者のため、ソフトバンクは来春のオープン戦で引退セレモニーを計画しサファテ本人に来日を打診している。「とても楽しみだし、感謝している」と語るかつての剛腕は、古巣への感謝を改めて口にする。

 「日本では毎日を楽しみたいと思いながらプレーしていた。イライラしたり、お金を稼ぐためだけに日本へ来たり、プレーしたらすぐ家に帰ったりするような外国人にはなりたくなかった。何回も言うけどチームメイトは家族。彼らが支えてくれたおかげでプレーに集中して結果を出すことができた。リハビリがきつかった時も変わらず接してくれた。フロント、コーチ、選手、スタッフの皆さん、そしてファンの皆さん。本当に感謝しているし、日本に行ったらお礼を言いたい」

 日本のマウンドに上がったのは20年3月のオープン戦が最後。最速159キロ、通算427登板で防御率1.55。名球会入りの条件である通算250セーブ目前でユニホームを脱いだ歴史的剛腕が、愛し愛されたファンの前で”最後の雄姿”を披露する機会が訪れそうだ。

 (TNC「ももスポ」22日放送・YouTube「ももスポチャンネル」)

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