顧問の暴力で高1女子自殺 「悪いのは剣道じゃなくて部活の場」 母親が胸の内明かす 【福岡】

2022年12月20日

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なぜ、愛するわが子を失わなければいけなかったのかー。

母親が、その苦しい胸の内をカメラの前で明かしました。

中学校の卒業式で、友人たちと一緒にピースサインをする女の子。

2020年の夏に亡くなった、侑夏(ゆうな)さんです。

活発で、明るくて、人を喜ばせることが大好き。

一方でー

母親の影響で小学1年生から始めた剣道に対しては、人一倍真面目な努力家でした。

◆侑夏さんの母親
「自分が剣道していたせいで、という思いが最初あって…」

ふり絞るように「後悔の念」を口にしたのは、侑夏さんの母親です。

◆侑夏さんの母親
「本当に優しくて良い子だったんですよ。剣道と一緒に育ったような子なので。悪いのは剣道じゃなくて、博多高校の部活の場が悪い」

2020年8月ー

福岡市東区にある博多高校の1年生だった侑夏さんを死に追いやったのは、剣道部の顧問2人による指導という名の「暴言」や「暴力」でした。

◆顧問の発言(合意書より)
「貴様やる気あんのか!」
「特待生としての責任がある」

中学時代に地区大会で何度も優秀な成績を残し、特待生として博多高校に入学した侑夏さん。

男性顧問は侑夏さんに執拗に暴言を浴びせ、竹刀で何度も「突き」をしたり、体当たりをしていたといいます。

◆侑夏さんの母親
「剣道ではありえないあざのでき方。娘が練習来てと言った時行ってみたら、先生が子供に説教しているときで、聞いたことないような暴言。『これは一言言っとかんと』と思って…」

母親は「指導のあり方をどうにかしてほしい」と剣道部の顧問に相談しました。

しかし、対応はなく、その4日後、侑夏さんは命を絶ちました。

◆侑夏さんのツイッター(亡くなる当日に残した投稿)
『部活ていう存在が死にたい原因なのにね』
『死ぬために部活休んだ』
『誰が悪いって心が弱い私が多分悪いです。迷惑かけてわがままばっかでごめんなさい』

侑夏さんの死から約半年後、2人の顧問は離職しました。

◆侑夏さんの母親
「娘は真面目で責任感もあって、本気でやってきたからこそ続けていけなかった。はっきり言って異常だと思う」

母親は2022年3月、代理人弁護士と共に損害賠償を求め、提訴することを決意。

博多高校に対し、法廷で争う意向を伝えました。

するとー

学校側は、顧問の不適切指導があったことを全面的に認め、示談を申し入れてきたといいます。

◆侑夏さんの母親
「和解だから、許したのかと言われると許すことは出来ない。ただ…娘に『校長先生は責任を取ってくれたよ』という風にはですね…」

母親は学校側が謝罪し、「再発防止策」を約束することなどを条件に示談に合意。

再発防止策の中には『事件を風化させることなく今回の教訓を最大限活かすこと』『部活動の指導方法を年に1回検証すること』などが盛り込まれました。

一連の問題について博多高校側は、TNCの取材に対しー

◆博多高校側のコメント
「当時、顧問の指導方法を十分に把握できておらず、本当に申し訳ない。二度と起こらないよう全力を尽くしたい」

◆侑夏さん(中学生時代の発表会映像)
「私は将来柔道整復師になりたいです。そう思うようになったきっかけは、私が小さいとき祖母が脳溢血で倒れ、右半身麻痺という後遺症が残ったことです」

子供達の将来を、教育者が「指導」の名のもとで摘み取ってしまう、いわゆる「指導死」。

全国で度々問題化するこの「指導死」をどうすれば根絶できるのか。

侑夏さんの母親は“悲劇を決して繰り返してほしくない”と訴えます。

◆侑夏さんの母親
「子供たちには、『自分が置かれている環境が異常なのかもしれない』と考えるきっかけになってくれればと思います。厳しくて当たり前とか、きつくて当たり前、みたいなのがもしかしたら異常な環境なのかもっていう。保護者の方にとっても、どこかの誰かじゃなくて、身近な問題として大丈夫かな?と思うきっかけになってくれたらいい」

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