工藤会と決別 資金源を絶つステッカー 標章制度から10年 予想超えた暴力団の反発も 北九州市

2022年08月02日

サムネイル
暴力団の立ち入り禁止を意思表示する「標章」と呼ばれるステッカー。

飲食店が暴力団と決別を図り、資金源を絶つというという狙いがありますが、制度の開始から8月で10年。

取り組みはいまどうなっているのでしょうか。

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<暴追の日 7月22日>
「暴力団は許さないぞー」
「暴力団とたたかうぞ!」
「暴力団を追放するぞ!」

北九州市小倉北区の夜の繁華街に響くシュプレヒコール。

参加しているのは警察や北九州市民です。

こうして月に一度、目に見える形で暴力団排除を訴えかけます。

飲食店からのみかじめ料などを活動資金にしてきた暴力団。

しかし、その長年の関係を断ち切る「意思表示」の制度が10年前に始まりました。

「暴力団立入禁止」と記された標章です。

2012年、福岡県は「暴力団排除条例」を改正。

標章を掲げた店に暴力団組員が入店すれば、県の公安委員会が中止命令を出し、応じなければ50万円以下の罰金を課すことができます。

みかじめ料の支払いに苦しむ店側を救い、暴力団の収入源を絶つ新たな一手。

しかし待ち受けていたのは、予想を超えた暴力団側の反発でした。

<2012年>
◆記者リポート
「男性は自宅に入ろうとしているところを襲われました。北九州市での殺人未遂事件はこれで4件目です」

標章を掲げる飲食店の関係者を狙った切りつけ事件が立て続けに発生。

さらに標章を掲げるスナックが入るビルが放火される事件までも起きました。

特定危険指定暴力団・工藤会の幹部は当時、福岡県警との対決姿勢をこう宣言にしていました。

◆工藤会幹事長(当時) 木村博受刑者
「県警の幹部が『工藤会とは全面戦争』と。向こうも戦争のつもりなら、こっちも戦争のつもり受けて立ちますよ」

標章制度に協力した人が次々と暴力の標的に。

警察の信用は地に落ちました。

◆標章を掲げたスナックママ
「とにかく最悪の1年。なんのために標章したのかなって、無駄な税金使って」

<2014年>
◆記者リポート
「工藤会野村総裁の自宅に警察の強制捜査が入ります」

しかしこうした状況を一変させたのは2014年。

県警が工藤会のトップとナンバー2を逮捕した頂上作戦でした。

◆北九州地区暴力団犯罪捜査課 国本正春課長(当時)
「ヤクザが組織的に女性を襲うなどということは本当に卑劣かつ悪質」

暴力団排除の動きは加速。

標章の掲示率は福岡県全体で約8割にまで達しました。

標章制度の始まりから10年。

暴力団が繁華街に入り込まないようにする地道な活動は、いまも続いています。

午後7時すぎ、八幡西警察署から出てきたのは福岡県警繁華街創生プロジェクトのメンバーです。

◆福岡県警 繁華街創生プロジェクトのメンバー
Q.10年でどこが変わった?
「一番はもう繁華街で暴力団を見かけなくなった。極端に少なくなったところが一番大きいかなと思います」

繁華街をくまなく回り、標章に協力する店を増やす活動を続けていますが、ここ2年あまりはコロナ禍で飲食店が閉店するなど、現状を把握することが難しかったといいます。

◆警察官
「こんばんは。お疲れ様です。よろしくお願いします」

訪れたのはコロナ禍にオープンしたスナックです。

店が休業しスタッフに会えない日が続いていましたが、ようやく掲示に漕ぎつけました。

◆警察官
「確認で写真撮らせてもらいます」

◆標章を新たに掲示した女性スタッフ
「昔、飲み屋で喧嘩とか多かったし(暴力団の)名前出すとか多かったけど、最近はそういうのないんじゃないかなと思ってます。安心はありますね」

◆警察官
「今後ですね、定期的に回ったりします」
◆店の女性
「前の人が置いて行ったのが…」
◆警察官
「え?本当ですか?そしたら確認、回収しましょうか。はがすと処罰の対象になるんですよ」

今後は標章を掲げた店が嫌がらせにあっていないかフォローアップを続けることが重要になります。

◆福岡県警 繁華街創生プロジェクトのメンバー
「(今は)暴力団は標章というのをまず確認して、貼ってあるところには入らないように徹底している。これまで同様、地道に一店舗、一店舗、必要性を訴えかけて掲示して頂くしかないかなと思います」

コロナ禍で店の入れ替わりが激しいいまこそ、暴力団につけ入る隙を与えないー。

県警はきょうも夜の街で、目を光らせます。

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