新型コロナ「5類」移行も懸念の声 医療や福祉の現場では警戒続く 【福岡】

2023年05月08日

サムネイル
5月8日から感染症法上で5類に移行された新型コロナ。

社会が新型コロナの対応を緩和へとかじを切る中、医療や福祉の最前線では気を緩めることができない状況が続いています。

福岡市内のクリニック「井上さとし内科」。

ドライブスルー形式の発熱外来には、8日の午前中だけで6人の患者が訪れていました。

井上院長は2020年10月開業当初から発熱外来を続けてきました。

新型コロナの5類への引き下げでPCR検査などの費用が患者の自己負担になる中、受け入れる医療機関にも変化があるといいます。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「診療報酬がかなり少なくなってしまう。補助金も制限されているというか少なくなっている。近い将来たぶんなくなる」

5類に引き下げられることで診療報酬や補助金は減ります。

しかし、このクリニックでは人手がかかる発熱外来をやむを得ない理由で当面は継続することにしました。

▼井上さとし内科 井上聡 院長
「糖尿病や高血圧などの高齢者の普通の患者。慢性疾患の患者さんが来るので、患者さんにも安心を示すことができる」

5類になっても新型コロナの重症化リスクが減るわけではないので、糖尿病など重症化リスクの高い患者と導線を分けるために発熱外来を継続することにしました。

5類移行では本来、新型コロナに対応できる医療機関が増えることへの期待もありますが、診療報酬や補助金が減っている現状で本当にうまくいくのか疑問が残ります。

◆井上さとし内科 井上聡 院長
「今までそういう対応をしていなかった医療機関が、マスクガウンをスタッフに教育して始めていくのが医療機関にとってハードルが高い。非感染者、いわゆる一般の患者さんを優先してしまう医療機関が出てくるんじゃないか」

さらに、感染リスクの高いお年寄りが集団生活を送る高齢者施設は、社会に広がる対策の「緩み」を危惧しています。

5類引き下げを受けて、5月下旬から施設内での入所者との面会を再開する予定ですが…

◆特別養護老人ホーム 次郎丸の里 藤井雅美 施設長
「15分以内で大体1家族あたり2名程度の入館」

ウイルスの持ち込みを防ぐため、人数や時間を制限する方針です。

60人の入所者全員に心不全や糖尿病といった基礎疾患があるために、コロナが命に関わる病気であることに変わりはありません。

Q.もし感染者が出たらどうなる?
◆特別養護老人ホーム 次郎丸の里 藤井雅美 施設長
「また冬と同じように、これを下ろして、ゾーンニングをして、完全にまた分離する」

この施設では、コロナの第8波でクラスターが発生し、入所者21人が感染。

感染者の居室エリアを完全防備の職員だけが入れるレッドゾーンに区分けするなど、事務方を含む総力戦で対応にあたった苦い経験がありました。

今後も感染者が出た場合には、同様の措置を講じるとしています。

▼特別養護老人ホーム 次郎丸の里 藤井雅美 施設長
「2類相当だろうと5類だろうと、感染症には変わりない。我々が取る対策は何ら変わることはない。入居者がコロナ発症した際に、受け入れ体制や診療体制がうまく確保できるのか。病床数も減るわけですので、そのあたりの不安がすごく大きい」

世の中は「有事」から「平時」へと舵を切る一方、感染リスクの高い高齢者などを取り残さない対応が求められています。

NEWS
ニュース

ニュース記事一覧をみる

SPORTS
スポーツ

スポーツ記事一覧をみる

GOURMET
グルメ

グルメ記事一覧をみる

GO OUT
おでかけ

おでかけ記事一覧をみる

LIFE
生活情報

生活情報記事一覧をみる

ENTERTAINMENT
エンタメ

エンタメ記事一覧をみる

FEATURE
特集

特集記事一覧をみる

ECONOMY
地域経済

地域経済記事一覧をみる