5歳児バス置き去り熱中症死 当時の園長に禁錮2年求刑 園児の母親「執行猶予は受け入れ難い」 福岡地裁

2022年10月13日


2021年7月、福岡県中間市の保育園で、園児が送迎バスに置き去りにされ熱中症で死亡した事件の裁判で、検察側は業務上過失致死の罪に問われている当時の園長に禁錮2年、保育士に禁錮1年6ヵ月を求刑しました。

業務上過失致死の罪に問われているのは、中間市にある双葉保育園の当時の園長・浦上陽子被告(45)と保育士・鳥羽詞子被告(59)の2人です。

起訴状などによりますと、2021年7月29日、中間市の双葉保育園で、園の送迎バスを運転していた浦上被告と園児の降車補助を担当した鳥羽被告は、バスから園児全員が降車したことを確認しないまま、当時5歳の倉掛冬生ちゃんを約9時間バスの車内に放置して熱中症で死亡させたとされています。

事件当時、屋外の気温は30℃以上となる真夏日が続いていて、事件後に警察が行った再現実験でバス車内の温度は最高で50度を超えていたということです。



9月26日の初公判で、浦上被告ら2人はそれぞれ「間違いありません」と起訴内容を認めました。

また検察側は「真夏日であることを認識し車内に取り残せば熱中症で死亡することも認識していた」と指摘しました。

その後、弁護側による被告人質問では…

◆弁護側「なぜ車内から(冬生ちゃんを)確認できなかった?」
◆浦上被告「(別の園児が)ずっと泣いていたら響き渡ってきたので早く戻るべきと気持ちが焦り、とにかく早く戻ろうという話をして、確認しないで(バスを)施錠した」

◆弁護側「(当時)慌ててやるべきことを考えられなかった?」
◆浦上被告「以前も同様の事故がありわかっていたのに自分が同じようなことを繰り返すとは思っていなくて、自分がしっかりしていれば起こすことがないと思っていた。まさか自分が…(泣く)」

泣きながら当時の状況を話した浦上被告。

また遺族に対し「私が人数を確認しなかったせいで被害に遭われてしまい本当に申し訳なく思っています」と謝罪の言葉を述べました。

13日午後に福岡地裁で開かれた論告求刑公判には、被害者参加制度で冬生ちゃんの母親が出廷し、いまの思いを述べました。

◆冬生ちゃんの母親
「バスの中で冬生が味わった苦しみや恐怖を考えると、母親として2人に執行猶予がつくことはとても受け入れ難いです。特に園長には、冬生の命が失われたという事実の重大さから目を逸らしているようにしか思えないので、絶対に実刑判決であってほしいです」

そして検察側は「悲惨な死亡事故の発生を防止するという一般予防という見地も量刑上考慮すべきである」と指摘し、浦上被告に禁錮2年、鳥羽被告に禁錮1年6ヵ月を求刑。

一方、弁護側は「すでに社会的制裁を受け、遺族に対して謝罪を働きかけている」として浦上被告には執行猶予付きの判決、鳥羽被告には罰金刑を求めました。

最後に裁判長から意見を求められた浦上被告はー

◆浦上被告
「すべて私の責任で起こしたことであり、本当に申し訳なかったと思っています。心より深く反省するとともに、今後も償っていこうと思います」

判決は11月8日に言い渡される予定です。

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