【独自】福岡5歳児餓死 ママ友“支配認定”知らず「えっ?初めて聞いた」 判決前に記者に語る

2022年09月16日

福岡県で起きた5歳児餓死事件の裁判で、母親のママ友への判決が9月21日に言い渡されます。

起訴状などによりますと、篠栗町の無職・赤堀恵美子被告(49)は2020年4月、実質的に生活全般を支配していたママ友の碇利恵被告(40)と共謀し、碇被告の三男・翔士郎ちゃん(当時5)に十分な食事を与えず餓死させた保護責任者遺棄致死などの罪に問われています。

判決を前に、赤堀被告は福岡拘置所でTNC記者の接見に応じ、ときおり涙を浮かべながら答えました。

◆赤堀被告(福岡拘置所)
Q.「今、判決を控えてどう思う?」
A.「どこまで裁判員に伝わっているか。3分の1しか真実を話していない。どこまで通じているか。私が支配していたと歯がゆかった」
Q.「現状は本意ではない?」
A.「はい」
Q.「今すぐ出たい?」
A.「はい。子供たちとは手紙でやりとりはしている。『ママのしていることは間違っていない』『テレビで違うところが流れているよ』と手紙が送られてくる」

8月29日から始まった裁判員裁判で、赤堀被告は起訴内容を全面否認し無罪を主張しました。裁判には検察側の証人として碇被告が出廷。主張が異なるママ友同士が法廷で対峙しました。

◆碇被告への証人尋問(8月31日)
検察側「(赤堀被告の)最初の印象は?」
碇被告「正直言っていいですか?ダサいなと思いました」

2016年の春、次男が通う幼稚園の説明会で出会った赤堀被告と碇被告。その後、赤堀被告は「他のママ友が悪口を言っている」「夫が浮気をしている」などと嘘を言い、碇被告を周囲から孤立させ、浮気調査費用などの名目で約200万円をだまし取るなどした罪にも問われています。


◆碇被告への証人尋問(8月31日)
碇被告「赤堀から『アンタあいつ(碇被告の夫)女とおるよ』と言われた」「言ってることがリアル」「『写真もある』と言われた」「赤堀から『ママ友が、あんたの文句言いよるよ』と言われました」

赤堀被告がついたという嘘の数々を詳細に述べる碇被告。それを聞きながら赤堀被告は法廷でずっとメモをとっていました。

◆赤堀被告(福岡拘置所)
Q.「メモは何を書いていた?」
A.「碇の発言を聞きながら違うところをメモにしていた。私は、何ひとつ嘘はない。何を言っているのか」
Q.「碇被告が証人として来た時、どう思った?」
A.「悔しかった。悔しさと憎しみ、なるだけ顔を見ないようにした」

事件当時、碇被告は翔士郎ちゃんら子供3人と生活していました。しかし碇被告によると、多額の金を赤堀被告にだまし取られたことで生活は困窮。食べ物を買う金もなくなり、赤堀被告から配給される食料で飢えをしのぐなど、生活全般を支配されていったと主張しています。

支配関係について赤堀被告に質問すると-。

◆赤堀被告(福岡拘置所)
A.「碇は『支配されていた』『食事も私が渡す分のみ』『お金も渡していた』と言っていたが、食事はほかの人からももらっていた。一緒に生活してないのに支配できる?『支配している』というのが、それで通じるのか。私は何ひとつ嘘を言っていない」
Q.「碇さんは話を大きくしている?」
A.「はい、私のせいにしたい」

しかし碇被告は公判で、空腹に耐えかねて冷蔵庫の食べ物をつまみ食いした翔士郎ちゃんを赤堀被告が叱りつけ投げ飛ばした時のことを、こう証言していました。

◆碇被告への証人尋問(8月31日)
碇被告「赤堀が怒った。『お前はなんでそんなことしたんだ!お前は5歳じゃない!お前はもう飯食うな!これから3日間は食うな!』と怒った。翔(士郎)の両肩を赤堀が持つんです。そのまま持ち上げて、床のマットレスの上に投げた」

この証言について赤堀被告はー。

◆赤堀被告(福岡拘置所)
Q.「翔士郎ちゃんへの暴行はあった?」
A.「暴行していない。碇から『言うこと聞かんけん話してきて』と言われて話したことはあった。たたいたりしていない。青あざがあったので『どうした?』と聞いたら『ママにたたかれた』と言っていた。碇を呼んで『たたいたと?』と聞いた」
Q.「赤堀被告にとって翔士郎ちゃんはどんな存在だった?」
A.「送り迎えもしていたし、なついていて。一緒に食事もしたし、私の子供とも遊んでいた。だから悔いはある。病院に連れて行くように伝えていたのに行動に移さない。強く言ってでも行かせておけば良かった」

裁判で検察側は、赤堀被告が週3回パチンコに通っていたことや、2年間で美容室代80万円を使ったほか、テーマパークへの家族旅行で28万円を使ったことなどについて指摘しています。この金について赤堀被告は-。

◆赤堀被告(福岡拘置所)
A.「タンス預金があった。検察はパチンコに行く話もしたが、いつも上限2万。使ってないのはほとんど貯めていた。旅行もバカ高い所には行っていない。安い所を探して行っている。旅行に行く時は高速道路も使わず下道。碇は検察に『私が怒りっぽい』と話していたので、(検察は)私が怒るのを待っていたのでは。悔しかった」

記者に対して、被害者はむしろ自分の方だと説明し続けましたが、表情に変化があったのは、6月の碇被告への一審判決で赤堀被告の支配が認定されていると伝えた時のことでした。

◆赤堀被告(福岡拘置所)
Q.「碇被告での裁判では赤堀被告の支配が認められていて、(判決は)求刑に対して半分の懲役5年だった。これについてどう思う?」
A.「えっ?そうなんですか?今、初めて聞いた」
Q.「知らなかった?」
A.「はい」
Q.「弁護士からも聞いてない?」
A.「はい。碇の裁判を聞いてないので分からないが、私の支配が認められたと初めて聞いた」
Q.「びっくりした?」
A.「碇の証言が認められたんだなと思う。なんとも言えない」

9月8日の論告求刑公判で、検察は「碇被告の証言はいずれも具体的で嘘とは言えない」「赤堀被告の支配がなければ碇被告が犯罪を犯すことはなかった」と指摘して、赤堀被告に懲役15年を求刑しました。

一方、弁護側は「碇被告には嘘をつく動機がある」「証言が不合理」と主張し、改めて無罪判決を求めました。

◆赤堀被告(福岡拘置所)
Q.「求刑を聞いてどう思った?」
A.「弁護士から碇より重いと聞いていた。だけどおかしいと思っている。私の裁判では説明する時間がなかった。意思とは真逆に私の悪口を聞く一週間だった。言うこと全て言えていない」
Q.「判決は怖くない?」
A.「怖い。裁判長からどう判断されるのか不安です」
Q.「あなたは今回の事件に巻き込まれた?」
A.「はい」
Q.「幼稚園の説明会の日、碇被告と会わなければ良かった?」
A.「はい。誰ともママ友にはなりたくはなかった]
Q.「あなたは真実を語っていると思っていい?」
A.「はい」
Q.「碇被告に嘘をついたことはない?」
A.「嘘はないです」

赤堀被告への判決は9月21日に言い渡されます。

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